何もかにも、話にも聞いたことがない拘置所

生活である。と言っても、独房であり人との

接触がそれほどあるわけではない。

入浴時か、担当官の点呼、買い物時の注文書

提出のときくらいである。それも、殆ど話し

することもない。

従って、他の被疑者や服役者を見るのは、か

ぎられる。

私は、入浴時に声がかかることがおいかった。

といっても、むこうにすれば挨拶のつもりで

あろう。独房の階には、二つの風呂場が隣り

合ってある。また、更衣の籠が中央に一つ上

下段とあり、入浴は、もちろん一人づつだが、

裸になるとき、向かえの人に目を合わすこと

になる。私の年齢のせいか、決まって向かえ

側の人から「お勤めご苦労さんです?」と声が

かかる。そのつど、私は適当に会釈している

が、実際のところはゾートする思いだった。

なにせ、向こうは全身カラーの刺青である。私

など、どこをみても何一つない。とても、声が

かかるような人には見えないはずである。

風呂から出て、この人たちは裸で堂々と風きっ

て歩いている。人間模様がかいまみられるので

ある。
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